KEY TAKEAWAYS
この記事でわかること
- 編集ソフトの画面だけでなく、変換後の最終ファイルを端末条件を変えて確認します。
- 全体の通読と、画像・表・リンクなどの要素別点検を分けると漏れを減らせます。
- 自動チェックの結果だけで完了とせず、修正箇所と周辺を同じ条件で再確認します。
- 対象を固定提出版と確認条件を記録
- 表示を点検全体・端末・要素別に確認
- 修正後を再確認該当箇所と周辺を照合
原稿を編集している画面で問題がなくても、電子書籍へ変換した後に、表がはみ出したり、図の説明が別の位置へ離れたりすることがあります。読者は、制作者と同じ端末や文字サイズで読むとは限りません。入稿前には、最終ファイルを変換した状態で、条件を変えて確認する工程を設けましょう。
Kindle Previewerは、その確認に使える公式ツールです。この記事では、操作の一覧ではなく、何を、どの順番で、どこまで確かめるかを作業表にします。実際の本の品質を保証する自動判定ではなく、表示上の問題を見つけ、修正結果を確かめるための手順として使います。
確認するファイルと、確認しない範囲を決める
最初に、今回の提出候補を一つに決め、ファイル名、版、書き出し日時、制作元の保存先を記録します。「最新版」という名前だけでは、複数人が同じものを見ているか分かりません。確認を始めた後に原稿を変更した場合は、別の確認対象として記録し直してください。
目次、見出し、リンク、読順を確認する
端末・文字サイズ・向きを変えて確認する
画像の説明、文字、見切れ、読みやすさを確認する
元データへ戻して修正し、変換後にもう一度確認する
POINT一つの表示条件で問題がないことを、全体の確認に置き換えない。
品質確認の観点図。Previewerだけで実機や支援技術の動作すべてを確認できるとは限りません。
確認範囲も整理します。表示の検証、誤字や内容の校正、出典の確認、アクセシビリティの点検は関係しますが、同じ作業ではありません。Previewerで正しく見えたことだけで、内容が正確、権利処理が完了、すべての読み上げ環境で問題がないと判断しないようにします。
紙版も作る場合、電子書籍の確認結果をそのまま紙版へ適用しません。印刷用ファイル、裁ち落とし、表紙寸法、実物の読める大きさなどは別に確認します。紙版の工程はペーパーバック制作のチェック項目に分け、電子版との共通の本文修正だけを連携させます。
端末・向き・文字サイズを変えて見る
KDPの公式説明では、Kindle Previewerで端末の種類、向き、フォントやサイズを変更して見た目を確認できます。オンラインプレビューアーにも基本的な確認機能がありますが、デスクトップ版とは表示や選択肢が異なります。使っている版と、実際に選べる設定を記録してください。KDP:Kindle Previewer
検証条件は、想定する読者の利用場面から決めます。スマートフォンで短時間に読む本なら、小さな画面で段落や図表の意味を追えるかを重点的に見ます。資料を参照しながら読む本なら、見出しから必要な箇所へ移動できるかも確認します。すべてを同じ時間だけ見るのではなく、内容上の弱点が出やすい条件を選びましょう。
| 条件 | 見るところ | 不具合の記録 |
|---|---|---|
| スマートフォン相当 | 長い見出し、図表の文字、段落の密度 | 読めない箇所と必要な拡大 |
| Kindle端末相当 | 図の区別、文字と背景、細い線 | 意味が失われる図の場所 |
| タブレット相当 | 余白、図の配置、本文とのまとまり | 不自然な空白や離れた説明 |
| 大きな文字サイズ | 改行、箇条書き、表、章の境界 | 欠ける文字や読む順序の崩れ |
| 向きの変更 | 画像の扱い、表の収まり、段落の流れ | 片方の向きでだけ起こる問題 |
リフロー型と固定レイアウトでは、選べる表示条件や確認方法が異なります。公式ユーザーガイドも、固定レイアウトや改善されたタイプセットの対応状況で表示が異なる場合を説明しています。操作項目が見えないことをすぐ不具合とせず、本の形式とツールの案内を照合します。Amazon:Kindle Previewer 4 User Guide
最初は、冒頭から末尾まで全体を確認する
変換後の全体確認では、表紙、扉、目次、本文、注、参考資料、奥付まで順番に見ます。抜けた章や重複した段落、不自然に空白が続く部分がないかを確認してください。元原稿の総ページ数と同じに見えるかではなく、必要な内容が正しい順で存在するかを見ます。
サムネイルで全体の配置を眺める確認と、本文を読んで意味を追う確認を分けます。小さな一覧では空白や画像の偏りが見つかりやすい一方、誤字、注記の不足、参照先の違いは読まなければ分かりません。自動めくりのような機能を使う場合も、それだけで通読を済ませたことにしないようにします。
初回の全体確認では、その場で原稿を直しながら進めるより、位置と症状を一覧に残すと、同じ原因の問題をまとめられます。修正した結果、後半の表示が変わることもあるため、確認対象を途中で何度も差し替えない運用にします。
画像・表・リンクを、要素別に点検する
全体を見た後は、画像、表、箇条書き、リンクなどを種類ごとに確認します。Previewerには特定の要素がある箇所を絞り込む機能があります。細かな図が多い本なら画像を先に、参照の多い実務書なら表やリンクを重点的に見るなど、原稿の性質に合わせて順番を決めます。KDP:Previewerの確認機能
| 要素 | 確認すること | 修正後に見る周辺 |
|---|---|---|
| 画像 | 欠け、ぼやけ、図中の文字、説明との対応 | 前後の段落と参照番号 |
| 表 | 列と見出しの対応、文字の欠け、読む順序 | 本文中の解説と単位 |
| 箇条書き | 階層、番号、途中の段落や改行 | 手順の順番と参照 |
| 目次 | 項目名、移動先、戻って別の章を選べるか | 見出し変更とリンク先 |
| 注とリンク | 移動先、戻り先、表示文との一致 | 周辺の説明と参照先 |
図が小さくて読めないとき、単に画像を拡大するだけでは本文との関係が崩れる場合があります。図の情報を減らす、図を分割する、細かな説明を本文へ移すなど、内容の構成から直す方法も検討します。紙の誌面をそのまま画像化して入れる前に、電子書籍として読める形かを確認してください。
KDPの品質ガイドは、誤字だけでなく、画像、書式、リンク、表、欠落なども扱っています。修正の優先順位を決める際は、自分たちの好みだけでなく、読者が内容へアクセスできるかという基準で点検します。KDP:Kindleコンテンツの品質ガイド
自動チェックの対象外を、手動確認へ残す
公式のPreviewer 4ユーザーガイドにある品質チェックのベータ機能は、対象が限られています。リンクや脚注などの確認が案内されていますが、内部リンク検査では目次が除かれるとされています。自動チェックで問題が出なかったことを、目次や本文のすべてが正しいという意味にしないでください。Amazon:Previewerの品質チェック対象
チェック表には「自動で確認したもの」「人が開いて確認したもの」「今回は確認できていないもの」の三つを分けます。未確認の項目を空欄にしておくより、理由と次の確認方法を明記した方が、制作担当者から公開担当者へ引き継ぎやすくなります。
外部リンクは、開けることだけでなく、説明した資料へ到達するかも見ます。ログインが必要なページ、内容が変わったページ、読者に関係のない案内へ移るページでは、リンク先の選び直しが必要になる場合があります。ツールが技術的な到達を確認できても、リンクの意味まで正しいとは限りません。
修正したら、同じ条件で再確認する
修正一覧には、位置、症状、再現した条件、修正内容、再確認結果を残します。例えば「図が読みにくい」だけでは、制作者が同じ状態を再現できません。端末の種類、向き、文字サイズ、対象図の番号など、使った条件を記入しましょう。画面の記録を残す場合も、どのファイルの結果かを紐付けます。
再確認では、修正した箇所と、その前後、同じ書式を使う別の箇所を確認します。一つの表を直したときに、共通のスタイルを変更していたなら、ほかの表にも影響している可能性があります。指摘が消えたことだけでなく、新しい問題を生んでいないかまで見て完了にします。
提出する最終ファイルは、確認を終えたファイルと一致させます。検証後に軽微な追記をした場合も、書き出し直した結果を確認してください。ファイルの取り違えは、内容のよい原稿でも品質確認を無効にしてしまいます。
完了条件を共有して、公開作業へ引き継ぐ
完了条件は、必要な内容が揃い、決めた表示条件で重大な問題がなく、保留事項の扱いが明確で、提出版が特定できることです。全端末での完全な同一表示を約束するのではなく、何を確認したかを具体的に示します。KDPへ入稿した後も、オンラインプレビューなど、画面が案内する最終確認を行ってください。
ERESAはAmazonリサーチに使うツールであり、原稿の組版や端末表示を検証するツールではありません。市場調査で得た企画を実際に読める本へするためには、編集、変換、表示確認の工程が必要です。読書体験の改善は、既読ページを増やすための本文改善を考える際にも土台になります。
電子版の制作や入稿前の確認体制を整えたい場合は、書籍制作・出版の相談へ、原稿の形式と現在の検証表を共有してください。修正のたびに確認をやり直せる仕組みを作ると、初回出版だけでなく、その後の改訂も進めやすくなります。
参考資料・公式情報
制度・機能は更新されることがあります。利用時にはリンク先の最新条件をご確認ください。
情報確認日:2026-10-24

